投資家って何を見て投資判断をしてるの?
対象企業の「IR」を見ています。
上場企業は投資家に判断材料となる財務諸表を開示しなくてはいけません。
会社員の方ならよく耳にするかもしれませんが「IR」と言います。
今回は便利ツールである「IR BANK」を使って「IR」の読み方とその数字がどれくらいであれば健全なのかを解説していきます。
「IR BANK」の使い方
まずは下記の「IR BANK」にアクセスしましょう。
ここでは「日本電信電話(NTT)」を例に紹介致します。
『IR BANK』のサイトの検索窓でコード(9432)若しくは企業名(日本電信電話)を入力しましょう。
そして「日本電信電話」を選択
そして表示されたページをスクロールし、下部の「決算まとめ」を選択
各指標の意味と健全水準
※特に重要な指標は緑字で記載させていただきます。
「営業利益率」10%以上なら優良認定
営業収益とは本業で上げた売上高のことで、営業利益は売上高から原価を引いたものです。つまりこれが企業の儲けになる訳です。
当期純利益は営業利益から住民税や事業税、法人税を差し引いたあとの利益です。
このあたりは年々上昇していれば優良です。
営業利益率は売上高に対する営業利益の割合を表す指標です。
一般に営業利益率10%超えを連続している企業は利益体質で超優良と言われます。
業種にもよりますが、個人的には5%を切るようなら投資対象から外します。
御覧のように「日本電信電話(NTT)」はキレイな右肩上がりを続けている為、超優良企業と呼べるでしょう。
「自己資本比率」業種によるが50%が目安
総資産とはその企業の持つ資産で、借金や借物も含めた全ての資産が対象になります。
純資産とは総資産から借物や借金などの「負債」を差し引いたモノになります。
そしてこの総資産のうち純資産の占める割合が自己資本比率となる訳です。
自己資本比率が低いと不況時などは自身の資産で賄うことが出来なくなる為、想定外の事態に弱くなります。
業種にもよりますが、個人的には50%欲しいと考えています。
※不動産や商社などお金の動きの大きい業種は自己資本比率が低めになります。
NTTほどの企業でもコロナショックで純資産は減っています。
「EPS」1株あたりの稼ぐ力を示す最も重要な指標
EPSとは1株あたりの当期純利益のことです。
当期純利益÷発行株数=EPS
高ければ高いほど1株あたりの稼いでいる金額が大きいということになります。
投資判断をする際に最も重要視される指標です。
EPSが右肩上がりなら企業は成長を続けている証拠になります。
「BPS」横ばい以下なら要注意
BPSとは1株あたりの純資産のことです。
純資産÷発行株数=BPS
これが減っていく=企業の資産が減っていることを意味します。
従ってBPSは右肩上がりでないと赤字である可能性が高いことになります。
※株式数最新とは発行株数を増やしたことです。基本的に株式数を増やす訳ですからBPSも下がります。
「ROE」10%以上なら文句なし
ROEとは純資産に対しての稼いだ利益の割合を表します。
当期純利益÷純資産=ROE
少ない資本でも稼げるかどうか(稼ぐ効率)を見極める指標になります。
10%以上あれば文句なし。5%以下なら他の指標次第といった感じです。
「フリーキャッシュ・フロー」は余力を示す指標
フリーキャッシュ・フローは営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた数値です。
名前の通り企業が自由に使えるお金のことです。フリーキャッシュフローが少ない企業は資金に余力がないことを意味します。
企業の規模による為、明確な数字は挙げられませんがマイナスは論外です。
NTTはご覧の通り、潤沢なフリーキャッシュフローをお持ちです。
「一株配当」過去に大減配がないか
次に配当について説明します。
ここからは配当益=インカムゲインを目的とした投資に重要な項目になります。
一株配当とは1株あたりの年間の配当額です。
下記の2021/03を参考にすると100株保有していれば、年間10,500円の配当金が手に入る訳です。
ちなみにNTTのように毎年配当を増やしてくれている企業を連続増配企業と言います。
長期的に配当を得る投資手法であれば最低横ばい。できれば増配が狙える企業に投資したいところです。
※過去に大きな減配がある場合は要注意です。
「配当性向」50%以下なら健全水準
配当性向はEPS(1株あたりの当期純利益)のうち配当金が占める割合を指します。
(例)EPSが200円で一株配当が100円なら配当性向は50%
配当性向は低ければそれだけ余力を残している企業ということです。
一般に50%くらいであれば余力は残していると言えるでしょう。
80%を超えてくると余力が少なくそろそろ減配(配当を減ら)しそうだなと予想されます。
100%超えていると過去の貯金からも無理やり絞り出していることになります。
「自社株買い」株主還元性を測る指標
自社株買いは名前の通り、企業が自社の株を購入することです。
企業の株主への想いがわかる指標です。
こんな企業なら優良認定
指標 | 優良目安 | 要注意 |
---|---|---|
営業収益 | 右肩上がり | 横ばい以下 |
営業利益 | 右肩上がり | 横ばい以下 |
営業利益率 | 10%以上 | 5%以下 |
総資産 | 右肩上がり | 横ばい以下 |
純資産 | 右肩上がり | 横ばい以下 |
自己資本比率 | 50%以上 | 20%以下 |
EPS | 右肩上がり | 横ばい以下 |
BPS | 右肩上がり | 横ばい以下 |
ROE | 10%以上 | 5%以下 |
フリーキャッシュフロー | 潤沢 | 少ない |
一株配当 | 増配傾向 | 過去に大きな減配あり |
配当性向 | 50%以下 | 80%以上 |
自社株買い | 旺盛である | 全くなし |
上記の水準を全て満たしている企業は稀です。
従って財務状況を整理する上で最初に確認するべき指標は、これからも利益(EPS)を上げ続けられるかという事になります。
配当狙いでも横ばい以上は狙いたいです。
極論で言えば、EPSを伸ばしていける企業はいずれ他の数字も良化することが見込めます。
最後に
「IR BANK」は初期の確認方法としては問題ありませんが、できれば「四季報」や各企業の「決算資料」を見てから投資判断をするほうが間違いありません。
最新の情報を見ることで企業業績の傾向も違った見え方がする時もあります。
短期トレードなら財務の確認などする必要はありません。どうせすぐ売るのですから「長期目線で企業が成長するか」などを見極める必要がありません。
しかし、長期保有することを前提に投資するのであればその企業の未来を自分なりに予測して投資するべきです。
時間をかけて財務を確認することが投資を継続し、投資家としてのレベルアップに繋がるはずです。
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