投資の利益って結局いくらが手取りになるの?
「投資の利益」には「税金」がかかります。従って利益を上げても全額が手元に入ってくることはありません。
今回は株式投資の利益にかかる「税金」と具体的な「3つの節税方法」について解説します。
この記事を最後まで読むことで、税金について知るだけでなく資産形成を有利に進める「節税対策」がわかります。株式投資をしている方や興味のある方は是非参考にしてください。
キャピタルゲイン(売却益)にかかる税金
キャピタルゲイン(売却益)とは株式を買った値段と売った時の値段の差益のことです。
こちらは国内株式であっても外国株式であっても一律で20.315%の税率がかけられます。
※利益が出ていなければ税金はかかりません。
インカムゲイン(配当益)にかかる税金
インカムゲイン(配当益)とは、企業から利益の一部(配当)を受け取る収益のことです。
国内株式の場合は「キャピタルゲイン(売却益)にかかる税金」と同じですが、米国株式の場合、先に現地で10%の外国税が徴収されてから国内で徴収されます。
口座別の納税方法
税金の納税方法は運用口座の種類によって異なります。
キャピタルゲイン (売却益) | インカムゲイン (配当益) | |
一般口座 | 確定申告にて自身で納税 | 確定申告にて自身で納税 |
特定口座 (源泉徴収あり) | 証券会社で源泉徴収 ※証券口座間での損益通算 をする場合、確定申告が必要 | 証券会社で源泉徴収 ※配当控除や外国税額控除を 受ける場合、確定申告が必要 |
NISA | 非課税 | 国内分は非課税 外国税は源泉徴収される |
「一般口座」であれば証券口座から源泉徴収されることはない為、自身の手で確定申告を行い納税する必要があります。
「特定口座(源泉徴収あり)」であれば証券会社が利益から税金を計算して源泉徴収してくれる為、自身で確定申告を行う必要はありません。※後述しますが損益通算や配当控除、外国税額控除を受けたい場合は「特定口座(源泉徴収あり)」であっても確定申告をする必要があります。
「NISA口座」であれば配当にかかる外国税以外は非課税となり、税金はかかりません。外国税についても源泉徴収される為、確定申告は不要です。
3つの具体的な節税方法
NISAであれば非課税で運用できますが、その他の口座では税金がかかります。
しかし、確定申告をすることによって一部の税金が還付される可能性があります。
損益通算とは異なる証券口座の利益と損益をまとめること
2つ以上の証券口座を利用して株式の売買を行っている場合、売却に対しての利益が出ている口座と損益が出ている口座が存在するケースがあります。
「特定口座(源泉徴収あり)」では利益の出ている証券口座から税金が計算され差し引かれてしまいますが、確定申告にて利益の出ている証券口座と損益の出ている証券口座の収益を合算して税金計算が可能です。
これを「損益通算」と言います。
配当控除とは所得が少ない人ほど税負担が軽くなる制度
配当は企業の利益から株主に還元されますが、実は企業は利益に対して法人税を国に納めています。
このルールだと国に税金を納めたあと配当にまで課税されている為、二重課税ということになります。
つまり、配当控除は
そんなに税金取るのは悪いよね。少しお返しします。
といった制度になります。
配当控除は給料や事業所得の総所得が少ない人が有利な制度です。
給料所得や事業所得を合計した額に対して課税する「総合課税」という項目を選択し、確定申告することによって配当にかかる所得税を10%控除することができます。
前述しましたが、配当にかかる税率は下記のようになります。
配当控除で手を付けるのは所得税15%の部分です。
むむむ…
難しいな…
そう思った方はこれだけ覚えておきましょう。
総所得が900万円以下の方は「総合課税」で確定申告すれば配当控除が適用され税負担が軽くなる。
逆に総所得が900万円以上の方は「分離課税」のままのほうがお得です。
総所得 | 税率 | 配当控除後 (-10%)の税率 | 還付される税金 |
195万円以下 | 5% | 0% | 全額 |
~330万円 | 10% | 0% | 全額 |
~695万円 | 20% | 10% | 15%-10%=5%分 |
~900万円 | 23% | 13% | 15%-13%=2%分 |
ちなみに所得900万円以上に該当する方は年収で言うと1,300万円以上の方です。
外国税額控除とは所得が多い人ほど税負担が軽くなる制度
前述しました通り、米国株式からの配当には国内で課税される前に現地で10%の外国税が差し引かれます。
こちらも国外と国内で二重課税されている為、確定申告すれば一部又は全てが還付されます。
外国税額控除は給料や事業所得などの総所得が多い人が有利な制度です。
外国税額控除は限度額の範囲内で所得税から控除されます。
所得総額の大きい方は②に当てはまるケースが多く、源泉徴収された外国税全てが還付されることになります。
外国税額控除の場合、「総合課税」「分離課税」のどちらを選択しても控除が適用されます。
外国税額控除は所得が多い方が得する為、「総合課税」が有利になります。
注意点としては、こちらも配当控除と同様に「総合課税」を選択すると住民税が5%→10%になってしまう為、住民税に関しては「確定申告しません」という用紙をお住まいの地域の役所に提出する必要があります。(住民税の申告不要制度)
そうすることによって住民税は5%のままで済みます。
まとめ
売却益に かかる税率 | 配当益に かかる税率 | |
国内株式 | 20.315% | 20.315% |
米国株式 | 20.315% | 現地で10% 国内で20.315% |
基本的に株式投資の利益には約20%の税金がかかる為、手取りは80%程度になります。
米国株からの配当には現地税10%がかかり、そのあと国内でも約20%の税金がかかる為、手取りは72%程度になります。
納税方法 | |
一般口座 | ・確定申告にて自身で納税 |
特定口座 (源泉徴収あり) | ・証券会社にて源泉徴収 ※「配当控除」や「外国税額控除」を受ける場合、確定申告が必要 |
NISA | ・国内税については非課税 ・配当にかかる外国税については証券会社にて源泉徴収 |
「特定口座(源泉徴収あり)」であれば証券会社が源泉徴収してくれる為、基本的に確定申告は不要です。
節税対策を行いたい時に確定申告をすればOKです。
節税方法 | 概要 | 必要なケース |
---|---|---|
損益通算 | ・異なる証券の利益と損を通算する | ・売買損益を計上している口座をお持ちの方 |
配当控除 | ・配当にかかる所得税を軽減する | ・総所得900万円以下の配当を受け取っている方 |
外国税額控除 | ・配当にかかる外国税を一部又は全部を控除 | ・非課税口座以外で外国株から配当を貰っている方 |
これらは確定申告の手間がかかりますが、税負担が軽くなる為申告することを強くオススメします。
「所得」「控除」についてはこちらの記事をご参照ください↓↓
投資をする上で税金は切っても切れない存在です。
最も合理的な方法としては
「iDeCo」や「NISA」「つみたてNISA」の非課税枠をフルで活用。
「インカムゲイン(配当益)を得られるモノ」ではなく「キャピタルゲイン(売却益)を得られるモノ」に投資することです。これは税金が売却時にしかかからない為です。
初心者にもオススメの投資手法はこちらを参考にしてください↓↓
しかし、安定的に配当を得たい方も少なくないでしょう。配当を得るモノに投資する場合は「配当控除」や「外国税額控除」などを活用することで税負担が軽くなり、より資産形成を有利に進めることができるでしょう。
高配当株投資についてはこちらを参考にしてください↓↓
投資についてもっと学びたい方は下記の書籍がオススメです↓↓
どちらも「名著中の名著」で株式投資の本質が解ります。
この記事がみなさんの資産形成をする上で参考になれば嬉しく思います。