高配当株投資をする上で頭を悩ますのは購入タイミングではないでしょうか?
購入時の価格で配当利回りが決まる為、ここを抑えている方はかなりの確率で投資を成功させやすいでしょう。
今回は人気の高配当ファンドである「VYM」「HDV」「SPYD」を比較し検証致しました。
高配当株ファンド好きで購入タイミングを迷っている方は必見です。
各ファンドの概要はこちらからご確認ください↓↓
また、これらの高配当ETFを購入できるおすすめの証券口座については下記の記事で解説しています↓↓
配当利回りが高く即効性のあるSPYD
「SPYD」はS&P500組入れ銘柄から配当利回りが高い順に80銘柄が選定されている為、必然的に配当利回りが高くなります。
一方で「VYM」や「HDV」は財務優良な銘柄から選定されている為、純粋に配当利回りで選定されている「SPYD」にどうしても配当利回りでは見劣りします。
投資してすぐに高配当を得たいなら「SPYD」が有力な候補になります。
高増配率で将来期待できるVYM
「VYM」の魅力の1つとして挙がるのは増配率の高さです。
「VIG」という連続増配銘柄を集めたファンドがありますが、決して増配銘柄ばかりを集めた訳ではない「VYM」の方が直近10年での増配率は高い結果となっています。
つまり、早めに購入することで増配の旨味を味わえることになります。
一方で「SPYD」は景気敏感業種を集めてるということもあって、景気が悪くなれば減配します。ファンド誕生後の年平均増配率も3ファンドの中では最も低い水準になっています。
※ちなみに直近10年は市場が好調であった為「VYM」の年平均増配率は10%を超えましたが、今後の増配率が6%と仮定した場合、配当は以下のようになります。
経過年数 | VYMの簿価利回り (購入時2.8%と仮定) |
3年後 | 3.3% |
5年後 | 3.7% |
8年後 | 4.5% |
10年後 | 5.0% |
数年後に「VYMの簿価配当利回り」が「SPYDの配当利回り」を上回ることから、早期に購入することでそのメリットが活かせます。
トータルリターンはVYMの圧勝
トータルリターン(株価の値上がり)は「VYM」が一番高かったことになります。
VYM | 2011~2021年 直近10年 | 価格推移 43$→108$ | 年平均利回り 9.5% |
HDV | 2011~2021年 直近10年 | 価格推移 52$→98$ | 年平均利回り 6.3% |
SPYD | 2015~2021年 直近6年 | 価格推移 30$→40$ | 年平均利回り 5.3% |
※SPYDのファンド誕生は2015年の為、以降のデータを採用。
つまり「VYM」は暴落が来るのを待っている間に価格が上昇し、数年後に暴落したとしてもその旨味を味わいにくくなります。
暴落に弱いSPYD
それぞれのコロナショック時の値動きを見ると、市場平均でもある「S&P500」「VTI」の暴落率が約32%だったのに対して、景気敏感業種比率の高い「SPYD」は43%と最も下落しました。
配当面でも「VYM」「HDV」は増配したのに対し、「SPYD」は減配しました。
といった位置づけになります。
逆に言えば暴落時は「SPYD」が最も安価で仕込めるチャンスになります。
ただし同時に減配している可能性も高いので注意が必要です。
暴落時の想定
コロナショック並の暴落をした場合、価格や配当はどうなるのかを検証致します。
価格、配当利回り共にSPYDに旨味
暴落時の想定を以下のように設定した場合、次のようになります。
とは言え「SPYD」は2021年末に大きく減配した為、もう少し参考になるよう今までの平均配当利回りで見た場合を想定してみます。
実際はこのようなイメージで考えています。
購入可能口数の増加率もSPYDに軍配
平常時に購入可能な口数に対して暴落時の購入口数が何%増しになるか考えてみましょう。
それぞれ1万ドルずつ購入すると仮定した場合
こちらもやはり価格の低さと暴落率の高さから「SPYD」が一番購入可能口数も高くなり、仕込みやすさもあります。
暴落後の増配を加味した簿価利回り
暴落時に購入した場合でも、その後も増配は続くと仮定して簿価利回り(購入金額に対する配当利回り)を算出しました。
ティッカー | 暴落時 配当利回り | 5年後 簿価利回り | 10年後 簿価利回り |
---|---|---|---|
VYM | 4.39% | 増配率6%想定 配当利回り5.87% | 増配率6%想定 配当利回り7.86% |
HDV | 5.56% | 増配率4%想定 配当利回り6.76% | 増配率4%想定 配当利回り8.23% |
SPYD | 7.01% | 増配率1%想定 配当利回り7.37% | 増配率1%想定 配当利回り7.74% |
大幅な増配が期待し難い「SPYD」でもやはり購入時に7%の配当利回りがある為、10年後の配当利回りでも増配率の高い「VYM」と同水準である可能性が高いことになります。
つまり10年で見た場合の累計受取配当額はSPYDが一番高いことになります。
暴落を待って3年後や5年後に暴落した場合
暴落を待ち、3年後や5年後に暴落が起こった場合を想定してみました。
それぞれの株価成長率と増配率を以下のように設定しています。
ティッカー | 平常時 配当利回り | 3年後暴落の場合 ・3年前価格に対しての下落率 ・暴落時配当利回り | 5年後暴落の場合 ・5年前価格に対しての下落率 ・暴落時配当利回り |
---|---|---|---|
VYM | 3% | ・下落率22.4% ・配当利回り4.6% | ・下落率16.9% ・配当利回り4.8% |
HDV | 3.5% | ・下落率25.7% ・配当利回り5.3% | ・下落率22.7% ・配当利回り5.5% |
SPYD | 4.5% | ・下落率39.2% ・配当利回り7.5% | ・下落率36.9% ・配当利回り7.5% |
やはり成長力の高いVYMは暴落を待っている間に成長する為、年数が経過するほど旨味はなくなってきます。
一方で成長力の鈍いSPYDは数年後でも大して株価が変わらないことが予想される為、暴落を待ってもよいでしょう。
暴落時の対策としては超長期国債ETFがオススメです。詳しくは下記の記事をご参照ください↓↓
検証結果
いずれにせよ「暴落時」には買い増ししたいところです。
VYMは早い段階での購入がオススメ
まず、増配率の高い「VYM」は長期運用向けのファンドである為、比較的早い段階から投資するのが良いでしょう。理由としては以下の通り。
また、暴落相場がくれば買い増しをしてファンドの利回りを上げることもオススメします。
「VYM」を10年保有すれば配当は2倍以上になっている可能性が高く、暴落相場を上手く活用できれば2倍になるまでの期間を短縮できたり、増配率UPが見込めることになります。
SPYDは暴落時に仕込むのがオススメ
配当利回りの最も高い「SPYD」は即効性のあるファンドの為、暴落を待ってもいいでしょう。理由としては以下の通り。
価格上昇や増配の期待値が低い為、暴落を待って購入しても遅くはないという判断を致しました。
注意点としては不況に弱く、暴落年は減配する可能性が高いといったところでしょうか。
HDVは積み立てしつつ暴落時に買い増しをオススメ
「VYM」と「SPYD」の中間に位置するのが「HDV」です。こちらはコツコツ積み立てしつつ、暴落時に買い増すことをオススメします。理由としては以下の通り。
高配当が安定して得られる為、コツコツと買い増ししていくのに適したファンドと言えます。しかし「配当利回り」「増配率」「トータルリターン」全てが両ファンドの中間的立ち位置である為、暴落を待つかどうかの判断も難しいファンドであると言えます。
最後に
投資スタイルは人それぞれですが、暴落相場を上手く活用できれば運用効率がUPします。
暴落相場で慌てて売ってしまい、損益を確定させてしまうようなことがないように余裕を持って計画的に投資をしましょう。
この記事がみなさんの投資に対する考え方の参考になれば嬉しく思います。