株式投資をしていれば数年に一度は「暴落」に巻き込まれます。
「株式」は比較的値動きの激しい商品で、わずか数日の間に平気で40~50%下落することもある非常にハイリスクな資産と言えます。 一方で「債券」は借金であるため、基本的に利子と元本が返済される安全資産です。
比較的株式より安全性が高いため、リターンはかなり少なくなりますが暴落時に下落幅も少なく済むメリットがあります。
「株式」と「債券」値動きの違う投資商品を持つことはリスクのバランスを整えることと同義です。
今回はその債権を詰め合わせた人気米国ファンド「BND」「AGG」「LQD」の概要と違いについて比較検討致します。
安定した資産運用術を身につけるため是非内容をご確認いただくことをおすすめします。
ファンドの概要
前提としてこれらはいずれも「米国ETF」です。
米国市場で上場されている為、「楽天証券」「SBI証券」「マネックス証券」などのネット証券から購入が可能です。
ETFについては下記を参照してください↓↓
BND | AGG | LQD | |
---|---|---|---|
運用会社 | バンガード | ブラックロック | ブラックロック |
設定日 | 2007/4/10 | 2003/9/26 | 2002/7/26 |
投資先 | 米国総合債券 9,100銘柄 | 米国総合債券 7,600銘柄 | 投資適格社債 2,400銘柄 |
運用総額 | 約9.9兆円 | 約10.2兆円 | 約4.1兆円 |
経費率 | 0.035% | 0.04% | 0.14% |
分配月 | 毎月分配 | 毎月分配 | 毎月分配 |
AGGは国債や政府関連債を含んだ格付けAAAの債券が7割を占める最も安全性の高いファンドです。
BNDも国債や政府関連債が約6割を占める安全性の高いファンドで「AGG」に遜色ありません。
LQDは上記2ファンドほどではありませんが投資適格社債(主に格付けBBB以上)で構成されている為、安全性の高い優良ファンドです。
運用総額(AUM)ナンバー1は「AGG」
ファンドの運用総額(AUM)はAGGがトップ。
しかし、他のファンドも米国ETFの運用総額ランキングトップ10%に入る巨大ファンドです。
運用総額(AUM)が高ければそれだけ繰上げ償還リスクが減少します。
経費率は0.035%と「BND」が1番安い
経費率とは預けている金額にかかる手数料のことです。
3ファンドの中ではBNDが1番低コストで運用できます。
手数料はBNDが一番安いね
100万円預けても年間350円
はい!でも米国ETFの経費率の平均は0.2%くらいだから全部安い水準ですけどね♪
分配金は「LQD」が高利回り
直近の分配金額と利回り
BND | AGG | LQD | |
---|---|---|---|
2016年分配金 (利回り) | 2.031$ (2.51%) | 2.586$ (2.39%) | 3.912$ (3.43%) |
2017年分配金 (利回り) | 2.075$ (2.57%) | 2.537$ (2.35%) | 3.771$ (3.22%) |
2018年分配金 (利回り) | 2.229$ (2.73%) | 2.891$ (2.64%) | 4.138$ (3.4%) |
2019年分配金 (利回り) | 2.28$ (2.88%) | 3.036$ (2.85%) | 4.206$ (3.73%) |
2020年分配金 (利回り) | 2.098$ (2.5%) | 2.531$ (2.25%) | 3.672$ (2.86%) |
2021年分配金 (利回り) | 1.675$ (1.9%) | 2.02$ (1.7%) | 3.045$ (2.2%) |
投資先が国債中心の「BND」「AGG」に対し、投資先が社債である「LQD」はリスクも大きい分、利子である分配金が比較的多く貰えます。
想定利回りとリスク
過去の実績から見るリターンとリスクはどれくらいあるのか見ていきましょう。
「AGG」と「BND」は値動きに遜色がなく、「LQD」は若干値動きが激しめです。
とは言っても市場平均である全米株式ファンド「VTI」と比べるとその値動きの安定感はさすが債券ファンドと言えます。
全米株式ファンドについてはこちらの記事をご覧ください↓↓
総評
結果としてはコスト面、リスク共に「AGG」「BND」に大差はなく、「LQD」がコスト面、リスク共に少々高いということになりました。
ここからは私なりの見方になりますが、それぞれが必要になるケースを提案致しましたので参考にしてください。
「LQD」が必要になるケース
「株式投資なんてできない」「分散できるほど高額な投資資金を持っていない」という方であればリスクもある程度抑えられていて、安定したインカム(分配金)が手に入る「LQD」は株式には遠く及びませんが安定したリターンが得られます。
「AGG」と「BND」が必要になるケース
株式投資をしており、資産額が数千万円ある方であれば暴落時に大きく資産を失う可能性が高まるため、値動きの少ない「AGG」「BND」を保有することで資産の防御力は格段に上がります。
また、既に資産を取り崩す時期であれば「暴落」を想定する必要があるため過度なリスクは取れません。
それほど資産を増やす必要がなければ「AGG」「BND」の必要性は高まります。
「AGG」に朗報!楽天証券とSBI証券で買付手数料が無料化
2022年4月より「楽天証券」と「SBI証券」にて「AGG」の買付手数料の無料化が発表されたため、購入のしやすさという点では「AGG」に軍配があがります。
通常、購入額に対して0.495%の手数料がかかる為、10万円分購入すれば495円の手数料がかかります。それが無料化されるので「AGG」はかなりお得に取引できることになります。
「AGG」か「BND」どちらか1つしか選べない状態なら、以前であれば経費率の安い「BND」を選択していましたが買付手数料が無料化した「AGG」の方が多くの方にとって魅力的に映るのではないでしょうか。
これらの優良債権ETFを低コストで購入できるおすすめの証券口座は下記の記事で解説しています↓↓
また、値動きの小さいこれらのETFと違い、株式と逆相関な値動きをする「超長期国債ETF」もあります。
最後に
株式に対して値動きの少ない債券ファンドは資産額が増えるにつれ必要度合は上がってきます。資産額が増えるごとに株式ファンドだけでは暴落時に大きく資産を失う可能性が高まる為です。
またリスク許容度の小さい方であれば必須と言えるファンドでしょう。
投資方針は人それぞれありますが、こういった商品があると知っておいて損はないでしょう。ただし、あくまでも資産形成の中心に据えるべきなのは「株式インデックスファンド」です。概要は以下の記事をご参照ください↓↓
自分なりの答えを導き出す為に、この記事がみなさんの役に立てれば嬉しく思います。